学園もの(仮) 2
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入学式当日の朝。時に狂いなく目覚まし時計が鳴り響き、暗闇に深く沈んでいた意識が引っ張り上げられる。入学式が楽しみで嬉しくて眠れなかった、ということもなく熟睡。今日から高校生だ、などというわくわくした気持ちすら湧いてこない。これからのことを思うと身体を起こすのも億劫だった。正直なところ、寝過ごしでもしたかったところである。
これから通う高校は家から離れている。自転車で通学できる距離でもない。そもそも地元ですらないのだ。ならばバスや電車による通学かというと、そういうわけでもない。いや、電車とバスを使用して高校には行くが、通う手段ではない。これが正確な表現だろう。自分と同じように遠方からの生徒もいるため、入学式としては少し遅いが、昼頃に行われる予定となっている。
当日を迎えた以上、じたばたしたところで事態が変わることはない。だからといって、そうすぐに理解することもできない。今日からのことを考えれば考えるほど、気持ちがより陰っていく。布団に横になりながら悶々としているうちに、徐々に意識が遠のいていこうとしていた。つまり、二度寝をしようとしたのだ。それならそれで構わない。そのほうが気楽でいい、と判断を下して睡魔に身をゆだねた。が、すぐに意識をすくいあげられてしまった。母親が時間になっても起きてこないことを心配して、起こしに来たのだった。
親にたたき起こされてしまっては、嫌々でも身体を起こさざるをえない。母親には、心底嫌そうに見えたことだろう。それもそうだ。心の底から嫌気がさしているのだから。
これが華々しい高校生活を迎えた朝の心境であった。